10.通信回線の基礎知識
「IPアドレス」「ドメイン」「ルーター」といったものを解説したついでに、インターネットに接続するために不可欠な
「通信回線」についても、簡単に基礎知識を解説しておきましょう。
通信回線は種類によって特徴があるので、サーバー用としてどれを使うかはよく検討する必要があります。
本サイトでは、インターネット回線として、NTTの「Bフレッツ」か「フレッツADSL」を使う前提になっています。
通信回線の種類としては、「フレッツ光」は光回線、「フレッツADSL」はその名の通りADSL回線です。
■光回線
まず光回線ですが、これは電線ではなく光ファイバーを使い、光の信号として電話局と自宅の間の通信を行います。
ただし、パソコンなどの通信機器は電気信号になっていないと扱えないので、光回線の両端(NTT側と自宅側)には、
光の信号を電気信号に戻す装置(光終端装置やONUなどと呼ばれる)が必要になります。
NTTに申し込んでフレッツ光を契約すると、近くの電柱から自宅の中まで、光ファイバーの敷設工事をすることになります。
そして、光ファイバーを自宅内に置いた光終端装置につなぐところまでやってもらえば、後は普通のパソコン用電気信号なので、誰でも市販のLANケーブルなどでルーターやパソコンをつなぐことができます。
なお、家の中の光終端装置までは光ファイバーがきているわけですが、光ファイバーは電気ではなく光が通るものなので、極端に曲げたり折ったりすると使えなくなります。直すためには電柱から施設のやり直しになりかねないので、
くれぐれも、線の折れや曲げには十分注意してください。
さて、利用する上での光回線の特徴は、とにかく通信速度が速いことです。この先当分の間は、光回線が最速の
インターネット用回線と考えていいでしょう。
■ADSL回線
光回線に対してADSL回線というのは、ごく普通の電線(電話線)を使った通信です。
ただし、電話線を経由して無線のような信号をやり取りする方式なので、その信号を音声通話の信号と分離するために、
スプリッタ(分波器)という小さな機器が必要になります。
さらに、スプリッタで分離したインターネット用の信号は無線信号のようなものなので、それをパソコンが扱えるデジタル信号に変換するために、「ADSLモデム」という通信機器も必要です。
ADSLの通信速度には、契約によって、24Mや47Mなどいくつかの種類があります。
光回線の速度は100Mといわれていますが、実際の速度は少なくとも何割か低くなるので、47MのADSLなら実感としては
大きな遜色はないように思われます。
ただし、ADSLの「通信速度」に関してはいくつか重要な注意があります。まず、ADSLの速度に関して覚えておく
必要があるのは、
上り・下りの回線速度が違う
という点です。「上り」というのは自分からインターネットに発信する際の通信速度、「下り」というのは
ホームページの表示やソフトのダウンロードなど、インターネットからデータを受け取る際の通信速度です。
一般に、ADSLで24Mとか27Mとか呼ばれているのは、下り(インターネットから自宅へ)の速度を表しています。
そして上りの速度は、何と1Mしかありません。速度に極端な差があるのです。
実はADSLというのは、たとえば全体として48Mの通信速度が使える通信回線を、下り47M/上り1Mというように、
アンバランスに割り振って使っています。ADSLという名称の先頭にある「A」は、Asymmetric(非対称)の「A」なのです。
多くのインターネットユーザーは、主に、ホームページを見たり、動画や音楽配信などを利用します。
これらはすべて下りの通信なので、下りを高速にしておくことが、そのまま実質的な高速化になるという考え方です。
ところがサーバーの場合は、そのサーバーが他のインターネットユーザーにホームページなどを発信するわけですから、
サーバーからインターネットは「上り」の通信になります。一般のユーザーとちょっと違って、
自宅サーバーをインターネットにつなぐ場合には、上りの速度もかなり問題になるわけです。
簡単なホームページを扱う程度ならADSLでも問題ありませんが、より本格的な情報発信のためには、やはり光回線を
使いたいところです。
なお、ADSLにはもう1つ、
電話局からの距離で速度が低下する
という大きな特徴があります。たとえば47MのADSLを契約しても、それは理想的な状態での理論的な最大速度で、
大抵は何割か低い速度になります。最寄の電話局から2Kmも離れていたりすると、47Mで契約したのに実際の速度が
1Mくらい、という悲しい状態になってしまうことも珍しくないのです。
これはそういうものとして契約しているので、文句はいえません。電話局からの距離はNTTのホームページから調べられるので、新たにフレッツADSLを契約する場合は、必ず事前に確認しておきましょう。
ちなみに光回線に関しては、上り下りの速度が違うとか、電話局からの距離によって速度が変わるといった、面倒な問題はまったくありません。たくさんのユーザーが同時に回線を使うと遅くなる場合はありますが、基本的には、どこでも双方向で同じ高速通信ができます。